※このページは「AIの開発・成長記録」をより専門的に記述した技術寄りの連載です。用語が多く読みづらいかもしれませんので、専門的な内容が不要な方は、通常の「生産性改善」シリーズのみをお読みください。

■背景:生産性改善という課題
当社を含め、多くの中小の町工場にとって、いま最も重要な課題は「生産性の向上」です。
これまでにもPC導入などを通じて効率化を模索してきましたが、具体的かつ持続的な改善に結びつけるに至っていません。
特に、昭和時代のやり方を引きずる職人にとって、「生産性の改善」とは何を意味するのか、どう実現すればいいのか、具体案が思いつかないというのも現実のようです。
そこで、今回AIの本格導入に挑戦することにしました。
その経緯や試行錯誤の記録は、面白可笑しく書いている「(連載)生産性改善ブログ」をご覧ください。
現時点では、「自分たちの仕事に本当に役立つのか」といった点について、まだ多くの職人が想像すらしていません。
そのため、まず取り組むべきなのは、人間側にある「AIへの拒否感」を和らげることにあります。
これは年配の職人に限らず、意外にも若い世代にも共通しています。
「AIはまだ使い物にならない」「うちには関係ない」と思い込んで、最初の一歩を踏み出さない空気です。
今回の連載では、「AIなんて関係ない」などと高をくくっていたら、気づかぬうちにAIに置き去りにされてしまう――そんな現実を、やや真面目に、率直に綴っていこうと思います。
■ChatGPT Plusの契約
いくつかのAIサービスを試してみた結果、結論として、OpenAI社のChatGPT(有料プラン)に勝る選択肢はないという判断に至りました。
無料版の時点でも、単なる対話型AIをはるかに超える性能と利便性があり、使えば使うほど「これは人間以上の処理能力を持つ“秘書”だ」と実感します。
IT化や業務効率化に頭を悩ませている中小企業にとって、月額20ドル(約3000円)というコストは、非常に高い費用対効果を持つ投資だと言えるでしょう。
■クラウド型のオープンなAI
ここで言うまでもないですが、ChatGPTはアメリカで開発されました。昭和の社長さんから、「あの頃は日本の方が勢いがあった」とよく聞きます。
平成初期はバブル真っ只中で、日本が世界の覇権を握っていたのも事実でしょう。
──しかし、今はもう2025年です。
現在、OpenAIを支えている多くのエンジニアたちは20代。つまり21世紀育ちであり、日本がかつて強かった時代なんて誰も知りません。
日本からは、OpenAIのような製品が出ていないどころか、そうしたイノベーションが起きる空気すらないという現実を、まず受け入れなければなりません。
さて、そんな最新のAIですが、課題として、ChatGPTをはじめとする多くの生成AIが「クラウド上で稼働するAI」である、という点になります。
この点において、OpenAIという社名が象徴する「オープン」という文字の存在感を感じます。
実際、AI開発の現場でもこの設計思想は堅持されているのでしょう、おそらく「人間の尊厳を脅かしてはならない」という強い理念があるように感じます――と言うと少し大袈かもしれませんが、要するに「企業内部の情報や個人情報などの機密データを、AIは知ってはならない」という根本的な制約があるようなのです。
これは、大企業や研究機関なら当然の懸念です。
しかし、我々のように「隠すほどのものなど何もない」小規模事業者にとっては、実用面では大きな障壁となります。
毎日、夕飯のレシピを教えてくれるだけのAIでは困るのです。
■自前でのAI環境を構築
そこで決意したのが、「ChatGPTをAPIベースで自前運用し、社内業務に統合する」という、ある意味では無謀なチャレンジです。
しかも、それを一人で、片手間で、社内インフラとして構築するという暴挙。普通ならチームで数か月かけて作るようなプロジェクトです。
背中を押してくれたのはなんとChatGPTそのものでした。

「できますよ。私が手伝えば」
■設計:システム構成の選定
とりあえず、お試しで、「LINEでコミュニケーションを取り、必要な情報を社員に共有させるAI愛子」と愛称をつけて開発に着手しました。
ChatGPT Plusに開発環境の構築方法を尋ねたところ、以下の構成が推奨されました:
- 言語:Python(Flask フレームワーク)
- インフラ:Render.com(サーバーレスデプロイ対応)
- ソース管理:GitHub(バージョン管理とCI/CD)
- 社内データ管理:Google Sheets(API連携可能)
- 会話のUI:LINE Messaging API(LINE Botとして運用)
技術者であればご理解いただけると思いますが、これらを一貫して運用できるよう統合開発するには、相応の知識と経験が必要です。
しかし驚くべきは、ChatGPTがアカウントの取得から最低限必要な費用の支払い方法、ボタンの場所、ドキュメントURLの案内まで逐一、いつも使っている普通の日本語で教えてくれるという点です。
■ゼロからの環境構築
PythonやGitHubについて「名前は聞いたことがある程度」からのスタートでしたが、すべてChatGPTのナビゲートに従って導入しました。
例えば、
.envファイルの作成方法Google APIのサービスアカウント認証JSONの登録方法render.yamlの記述例Google Sheets APIのスコープと認証の流れ
など、公式ドキュメントよりも遥かに実践的かつ親切に指導してくれます。
正直、これは本当に驚きました。「ChatGPTがあれば、誰でもプログラマーになれる」――そう思わざるを得ません。
実際のところ、ラインの愛子から
「こんにちは、AIアシスタントの愛子です」
と返事が返ってくるまで、わずか3時間ほどでした。
■デバッグの神サポート
プログラム開発において最も重要かつ面倒なのが『デバッグ(バグ修正)』です。
プログラマの本質はここにあると思います。
最近の小学生向けプログラミング教育では、時間の制約もあるのでしょうが、この工程をスキップしているようで、少し心配になります。
まずは「コンパイル~デプロイが通らない」という洗礼を受けるべきです。
そしてその原因が、「 」と「 」の違いだった――なんてことに気づくことまで含めて。
(※これを読んで、「あ、それ分かる」と思えない人は、おそらくプログラミング~デバッグの本当の苦しみを知りません)
さて、このデバッグ作業において、ChatGPTは圧倒的でした。
- エラーログを貼るだけで原因を分析 →「ここのスペースが全角になってますよ」と即回答
- 「TypeError: NoneType is not iterable」→即座に該当箇所と理由を解説
- 未定義の変数やAPI認証ミス、非同期処理の不整合もすぐ指摘
この能力は、もはやベテランのシニアエンジニアが隣でアドバイスしてくれるのと同等です。
――あぁ、あの頃、このAIがいてくれたら。
多くのかつて、新人プログラマの世話に時間を費やしたシニアエンジニアたちは、きっとそう思うはずです。
■ChatGPTは「エンジニア補完AI」
結論として、ChatGPTは「人間の代わり」ではなく、技術者を大幅に補完・強化するツールです。
特に、個人や中小企業が内製開発する際においては、習熟速度を爆発的に上げてくれます。
AIに仕事を奪われるのではなく、AIと共に仕事を“変えていく”時代にもうなっていることをAI拒否している皆さん気が付くべきですね。
■LINE Bot「愛子」誕生までの遠い道のりの始まり
次回以降で、実際に当社で作成した社内AIキャラクター「愛子」がどのようにLINEと連携し、どんな業務を担っていくのかを紹介できたらと思います。
サーバーレス構成でAIが社内と対話する環境──それはもはや、「町工場のデジタル変革」と言っても過言ではありません。
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…いや、しかしこりゃあ楽ですね。
実はこの記事を書たのもChatGPTです。
オリジナル(もっと短い原稿)では「これは完全にAIに取って代わられる」と書いていたのですが、「AIと共に仕事を“変えていく”時代」と勝手に言い換えられました。
──このあたりにOpenAIのこだわりを感じます(笑)
さて、プログラマの本当の本業はデバッグです。想定外のデバッグで終電との戦いになったことがあるプログラマの人も多いでしょう。
これを救うのがChatGPTというより、AIの出番であり、実はAIに仕事を奪われる最たる人は開発しているプログラマー自身であって欲しいです。
SFの世界そのままです。安心してください。SFでは最後には人間が勝ちます。

「デーブ、わたしはこわいです……」
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