3-2.AutoCADシステム― 金型設計における活用概要
AutoCAD(オートキャド)は、オートデスク社が開発した2D・3D CADソフトウェアで、金型設計業界でも広く利用されている。とくに高精度な2次元図面の作成や図面管理機能に優れており、金型設計・製作工程における各種ドキュメント作成に欠かせないツール。
■ 金型設計における主な活用ポイント
・2Dレイアウト図・構造図の作成
金型部品(パンチ、ダイ、プレート等)の詳細図、アセンブリ図などを正確に描画。
レイヤー機能を活用し、電極、冷却ライン、排気機構などを分かりやすく整理可能。
・寸法精度と図面の整合性
高精度な寸法記入機能により、機械加工の基準となる詳細図を作成。
注記や公差、表面粗さなどの製造情報も一元的に表現できる。
・図面の再利用・標準化
よく使う部品や金型構成要素は「ブロック」として登録し、設計の効率化・標準化を実現。
他図面との連携(外部参照機能)により、大型金型設計でも構造変更への対応が柔軟。
・加工現場・CAM連携への橋渡し
AutoCADのDWG/DXFデータは多くのCAMソフトやNC加工機と互換性があり、データの流用や加工プログラムの作成に直結。
電極設計や分割線の設定もCAD上で視認性よく整理できるため、現場とのコミュニケーションがスムーズ。
■ なぜ金型業界でAutoCADが選ばれるのか?
- 業界標準の図面フォーマット(DWG)
- 2Dでの高い操作性と柔軟な図面編集機能
- 部品設計からアセンブリ、金型構造図まで一貫して対応可能
- 操作が比較的軽く、導入コストも抑えられる
AutoCADは「精度と拡張性」を兼ね備えた設計ツールとして、初期設計・構想段階から製造現場まで金型づくりを強力にサポートする
◆ AutoCADによる「2D→3D連携」活用 ― 金型設計の現場でどう使うか
AutoCADは本来2D作図に強みを持つソフトですが、AutoCAD MechanicalやAutoCAD 3Dモデリング機能を活用することで、3D設計ソフト(Inventor、Fusion 360、SolidWorks等)との連携が可能です。
● 実務における流れ(例)
- 2Dでレイアウト作図(穴位置、プレート構成、部品配置)
- 2D図面を元に、InventorやFusion 360に取り込み、3Dモデリングを展開
- AutoCADで作成したDXF/DWGデータはInventorでそのまま読み込み可能
- 3Dで構造干渉や部品同士の動きを確認
- 必要に応じて2D図面に戻し、部品図・組立図・加工指示書へ展開
● メリット
- 2Dで素早く検討、3Dで精密に検証
- 2Dと3D間の整合性が保ちやすい(図面変更時)
- 成形品と金型構造の動作確認が可能(スライド機構、エジェクタなど)
◆ AutoCADでの「金型部品リスト」作成手法
金型設計では、**部品リスト(BOM:部品表)**の作成が重要です。AutoCAD単体でも、工夫次第で部品管理が可能です。
● 方法①:ブロック+属性定義による部品リスト自動生成
- 部品ごとにブロック化(例:ダイ、パンチ、プレートなど)
- ブロック属性に「品名」「材質」「数量」「備考」などを定義
- 「属性抽出(Data Extraction)」機能を使用
- Excel形式で部品表を自動生成・出力可能(CSVや表形式も可)
- Excel側で整理・管理、工程管理表と連携
※AutoCAD Mechanicalでは「部品表」「部品番号」管理がさらにスムーズになります。
● 方法②:外部参照(Xref)とレイヤー管理を併用
- 各部品図を外部参照で取り込み、レイヤーで分類
- タグや色で部品種別・加工順・材質別に整理
- これを基に手動・半自動でExcelと連動する部品表を作成
◆ まとめ:2D+部品管理で精度とスピードを両立
| 機能 | 活用効果 |
|---|---|
| 2D→3D連携 | 動作・干渉の可視化、詳細検討の精度向上 |
| 属性付きブロック | 一括部品表生成、図面とデータの紐付け |
| Excel出力連携 | 工程管理や外注依頼資料との連携が容易 |
| 外部参照・レイヤー整理 | 大型金型や構成が複雑な設計に対応しやすい |