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※本記事は「技術解説編」です。先に公開したユーモア中心の「おちゃらけ版」とは若干時系列が異なります。
■意地の爆速検索に挑戦

町工場が日々必要とするのは、実はシンプルな情報です。
「短縮番号」「電話番号」「FAX番号」「郵便番号」「住所」「地図」――伝票を書いたり、電話をかけたりするときに欠かせない基本的な連絡先情報です。
私たちも社内にデータベースを整え、キャッシュを利用して 10秒以内 の検索に対応できるようになりました。キャッシュがなくても、サーバー直接アクセスで 30秒前後 で取得できます。
しかし、AI的な「曖昧用語対応検索」を導入しているため、
ヒット率の計算
不要候補の排除
といった部分で時間がどうしてもかかるため、「おお、早い」という爆速レベルには至っていません。検索しているのはわずか数百件の社内取引先データのみなのですが。
そこで、「生成AIを通さない」シンプル設計で、ある意味、自社で“AIのように見える仕組み”を作って、爆速の検索ヒット機能を作ることにしました。
■技術的な工夫ポイント
① 全文検索をやめて、一列のみ検索
従来はシート全体をなめるように検索していましたが、 「電話番号なら電話番号列だけを見る」 という方式に変更。
余計な列を最初から対象外にすることで、検索時間を劇的に短縮。
② ヒット率の比較を捨てる
AI検索は候補ごとにスコアをつけ、正しいものを選びます。
でも職人さんにとっては「全部出してくれれば、自分で見ればわかる」もの。自社開発の強みはここです。間違った情報を渡したとしても「あ、ごめん」で済めばいい。
だから仕様を単純化しました:
部分一致したら全部返す
並び替えもせず、そのまま返す
速度は段違いになりました。
③ 曖昧文字はデータ側に埋め込む
「ファナック」「Fanuc」「ふぁなく」。
こうした表記揺れはAIに任せず、データベースに別名カラムを作って登録しておきます。
検索時は単純な「一致」だけで済むため、演算コストはほぼゼロ。
さらに「ファナック」に関しては「ふぁ」でも登録。
④ LLMを通さない
自然言語処理も曖昧解釈も不要。
LINE botはただの検索インターフェースに徹し、結果をそのまま返すようにする。
ExcelでCtrl+Fするのと同じ感覚ですが、スマホのLINEだけで完結する分だけ便利です。
■爆速を支える考え方
「迷うより全部出す」:曖昧検索やスコアリングは不要
「見ない列は捨てる」:必要な列だけ検索対象に
「AIを通さない」:人間が曖昧表記を登録しておく
こうして、10秒以上かかっていた検索は 1秒未満 に短縮。
1秒を切ると、人間の感覚では「考える間もなく一瞬で出る」レベルです。
さらに工夫として、入力の省力化も導入。
「電話番号」なら「で」だけ入力、短縮番号なら「た」、住所なら「じゅ」といった 頭文字ショートカットでもヒットするようにしました。
例えば、サンネームのFAX番号が欲しい時は「ふぁ さ」で検索完了します。
さすがの職人でも一度覚えれば使いこなせます。まあ最悪「ふぁっくす さんねーむ」でも同じ検索結果が出るので困りません。
小さい会社だからこそ、曖昧表記の手作業登録も現実的ですし、スピード優先の割り切りができます。
一方、数万件以上の大企業なら、やはりAIスコアリングやクラウド検索が効率的でしょう。

■今後の進化
シンプルで超速いLINE完結検索を実用化したので、この機能を拡張し、今後はさらに対象を拡大していきます。
部品型番や在庫リストの検索
検索履歴から「最近問い合わせた会社」を即提示
LINEからワンタップで地図表示
これらを組み込むことで、より現場を止めない仕組みを目指します。
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