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※本記事は「技術解説編」です。先に公開したユーモア中心の「おちゃらけ版」とは若干時系列が異なるため、シリーズでお読みいただくと理解が深まるかと思います。
■社内ノウハウの検索対応
サンネームでは、これまでに「従業員情報」や「取引先情報」の検索自動化を進めてきました。次のステップは、“社内ノウハウや技術情報”の自動応答化です。
■技術的課題とアプローチ
現時点では、ノウハウの情報源として「Googleスプレッドシート」にデータベースを作成しています。熟練職人から聞き取った情報を人間の手によって、とにかく記録します。
これをAIが検索可能にするには、以下の技術的工夫が必要です:
1. スプレッドシート設計
ノウハウ情報は以下のような列構成で記録:
カテゴリ 質問 質問パターン 回答内容
エンボス加工, 調整方法,高さ調整,深さ調整,時間調整,温度調整
プレス圧力,深さ計測方法,実際の製品
このように、曖昧な表現にも対応できるよう「類義語(シノニム)」を列として追加。これにより、「エンボス高さって?」と聞かれても「深さ調整」という登録語句と一致させることを想定します。
2. 曖昧検索エンジン(Fuzzy Search)
ユーザーの質問は人間らしい曖昧な表現になります。たとえば:
「ガイド穴って何mmがベスト?」
「ボルトってどれくらい締めるんだっけ」
このような質問を、登録された「キーワード」や「類義語」と突き合わせて最も近い情報を見つけ出すファジーマッチング(例:Levenshtein距離、difflibなど)を導入しなければなりません。内部的には、メッセージを正規化・分割し、スコアリングして候補をソートしています。
ここでは社内情報を扱うために、自前で設計をする必要があります。
3. AIによる再構成と自然言語応答
ここが生成AIに頼るべきところです。見つけた情報をそのまま返すとただの情報の羅列になってしまい、内容も膨大になり、必要な情報が読み解くことができません。
そこで、AI(GeminiまたはChatGPT)に一度全てのヒットした情報を渡して内容を要約・整形させて、読みやすい自然言語の文章に変換してもらいます。
たとえば、
「金型は棚03の下段。ヒーターには電源が必要。プレス圧力 25トン使用。シックネスメーター。時間設定はプログラム1に保存。金型はTypeA-5用。印刷不良個所を試し打ちに使用」
と、いう原文を、
「商品TypeA-5の加工方法です📘
金型は棚03の下段にTypeA-5という表記で保管されています。25トンのベンダー君にセットし、ヒーターの電源を入れてください。
設定はプログラム1をロードして使用します。
まず、印刷不良品を使って試し打ちを行ってください。打ち抜いたサンプルはシックネスメーターで厚みと公差を確認し、問題がなければ量産に進めます🛠️」
と、自然な回答にして返すようなプロンプト設計します。
■人力記録から、AI自動吸収へ
現状、このノウハウデータベースは職人との会話を人間が文字に起こすことで構築されています。
理想的には、愛子が会話ログを分析し、自動でノウハウを発見・記録してくれる世界を目指していますが、それにはまだ高い自然言語理解力とコンテキスト保持力が必要です。
したがって今は、「よく聞かれること」や「繰り返しの作業」を地道にデータベース化していく段階にあります。実際、この「地味で面倒な作業」をコツコツ積み上げていくことで、AIの賢さは日々増していきます。
■「愛子に聞けば全てわかる」世界へ
この仕組みが完成すれば、新人が困ったとき、誰かの手を止めさせて聞く必要も、紙のマニュアルを探す必要もありません。
愛子に「エンボス加工のやり方教えて?」とだけ聞けだけで、いつでも正確な社内ノウハウが返ってくる──。
そして最終的には、音声認識や常時接続AIを活用して、「目の前の機械に話しかければすぐに答えが返ってくる」、そんなHAL9000的存在としての愛子の実現を目指せればいいなと思います。
もはや、職人が数人の町工場が実現するレベルの技術ではありません。しかし「片手間に」「ほとんど無料で」手に入る時代がもうそこまで来ています。
■サンネームの技術継承は、“究極にDX化された町工場”
今までは、「技術は見て盗め」だったかもしれません。
しかし、先人がいなくなったときにもう何もできないのでは、未来はありません。
サンネームでは、「面倒くさいことこそ、未来への投資」と捉え、データベース化に本気で取り組んでいます。
それはAI化、ロボット化、そして金型事業の継承にも直結する、大切な第一歩なのです。

サンネームは時代の2歩も3歩も先に進むのではなく、常に半歩先を行くという、生き残りをかけた戦いに挑みます。
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